テレワークが浸透し始めた現在、どうしてもついて回るのは通信環境の問題だ。
ランダムで選出した10代〜60代男女のビジネスパーソン760名に対し、テレワーク時のセキュリティ意識やネット環境についての調査を行なった。
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■テレワーク実施状況の調査
まず、テレワークの実施状況から調査を行なった。
テレワーク実施状況
回答者760名全体のテレワークの実施状況をグラフにすると、次の通り。
現在テレワークを実施している人の割合は、およそ40%。3人に1人以上の割合だ。
一方で、テレワークを経験したことがない人も40%程度いることが分かる。
テレワーク実施状況(職業別)
テレワークの実施状況を職業別に集計し、グラフにすると次の通りとなった。
現在実施している | 過去に実施していたことがある | 実施したことはない | |
自営業・フリーランス | 54% | 17.2% | 28.8% |
公務員 | 28.6% | 14.3% | 57.1% |
契約社員・派遣社員 | 23.7% | 16.9% | 59.3% |
会社経営者・役員 | 40.0% | 20.0% | 40.0% |
会社員 | 43.8% | 26.7% | 29.5% |
医療関係者 | 8.7% | 8.7% | 82.6% |
パート・アルバイト | 15.2% | 24.1% | 60.7% |
会社員やフリーランスのテレワーク実施割合は高いようだ。
一方で、やはり医療関係者の実施状況は他職業と比べても大幅に低いことが分かる。
■テレワーク時のセキュリティ意識に関する調査
次に、テレワーク時のセキュリティ意識に関して調査を行なった。
テレワーク時のセキュリティについて気を付けていることはあるか
テレワーク時のセキュリティについて気を付けている人の割合は次のグラフの通り。
(テレワークを実施している、あるいはしていた人のみ集計対象)
セキュリティに気をつけていることがあるという人は38.3%と、4割にも満たないことが分かった。
テレワーク時のセキュリティ意識は高いとは言えない数値である。
具体的に気を付けていること
「セキュリティに気をつけていることがある」と答えた人は具体的には次のような点に気を付けているようだ。
セキュリティに関して気を付けている具体的な内容 | |
PC、ルーターの設定で気を付けている内容 | ・セキュリティソフト、ウイルス対策ソフトを導入し、常に最新の状態にしておく ・ルータ、OS、ブラウザ、メーラー、アプリなどのアップデート ・ファイヤーウォールの導入 ・ルーター設定の見直し ・ルーターの買い替え ・パソコンのパスワードを定期的に変更 |
WiFi接続時に気を付けている内容 | ・接続するWiFiのセキュリティレベルを確認 ・フリーWiFiを使う際は、必ず暗号化されている回線を使用 ・会社のシステムにアクセスする時はVPN接続 ・セキュリティの甘い場所(カフェ、公共無線LANなど)では作業しない ・自宅のWiFiのみで作業する ・社用回線と自宅用回線を混同利用しない ・個人情報につながるデータをネット上で送らない ・業務以外のWEBサイトを閲覧しない |
日々の作業の仕方で気を付けている内容 | ・ソフトやサイトの信頼性を調査してから使う ・個人情報、企業情報が漏れないようにする、定期的にパスワードを代える ・よくわからないファイルをダウンロードしない ・会社からデータを持ち帰らず、リモートによる操作を行う ・使用が終わったファイルは、すぐに消す ・クライアントからの資料などは必要のなくなった納品時などのタイミングで全て処分する ・やり取りする書類を圧縮し、解凍にパスワードを設定する ・PCの画面には目隠しフィルターを付けて仕事をする |
PCや機器の管理方法で気を付けている内容 | ・パソコンにワイヤーロックをかける ・自分の持ち物以外はパソコンに接続しない ・離籍時はPCの画面ロック ・PC保管は鍵の付いた引き出しに入れている ・記憶メディア類の管理の徹底 |
オンライン会議時に意識している内容 | ・オンライン会議の背景などから個人情報が漏れないようにしている ・家族に内容を聞かれないように注意 ・外では人が近くにいる時はパソコンを開けないようにしている ・家族が入らない部屋で作業 ・会議の音声が外に漏れないようにヘッドセットを使用 |
テレワーク時のセキュリティ対策は何をすれば良いか分からない人も、上記の回答は参考になるだろう。
■テレワークのネット環境に関する調査
テレワーク時のネット環境についても調査を行なった。
テレワーク時の使用回線
テレワーク時のネット回線の使用割合は、以下のグラフの通り。
(テレワークを実施している、あるいはしていた人のみ集計対象)
7割以上の人が光回線を使用していることが分かる。WiMAXやその他ポケットWiFiの使用者は6.5%程度に止まっており、以外と少ない印象だ。
また、一部スマートフォンのみでテレワークをこなす人もいるようだ。
テレワーク時の回線速度への不満状況
テレワーク時の回線速度への不満状況は以下の通り。
(テレワークを実施している、あるいはしていた人のみ集計対象)
かなり満足 | まあまあ満足 | ふつう | やや不満がある | かなり不満がある | |
---|---|---|---|---|---|
光回線 | 12.3% | 27.3% | 40.8% | 17.3% | 2.3% |
ADSL | 9.5% | 14.3% | 38.1% | 19.0% | 19.0% |
WiMAX | 3.2% | 16.1% | 19.4% | 51.6% | 9.7% |
ポケットWiFi (WiMAX以外) |
0% | 19.4% | 19.4% | 48.4% | 12.9% |
スマートフォン | 11.5% | 7.7% | 38.5% | 30.8% | 11.5% |
その他 | 8.7% | 17.4% | 39.1% | 30.4% | 4.3% |
やはり光回線での通信速度は比較的安定しているようで、ふつう〜かなり満足で8割程度を占めている。
一方で、WiMAX、ポケットWiFiの不満度が高めなのが分かる。
モバイルルーターは、接続する場所によって、通信が安定しないのが理由であろう。
ネット環境の悪さが仕事に支障をきたしたことがある割合
ネット環境の悪さが仕事に支障をきたしたことがある割合を調査した結果は以下の通り。
(テレワークを実施している、あるいはしていた人のみ集計対象)
支障をきたしたことがある人は、40%程度にも上ることが判明した。
テレワーク時代において、ネット環境の整備をおろそかにすると、
仕事にも悪影響が出る可能性が高いと言える。
ネット環境の悪さが仕事に支障をきたしたことがある割合(回線別)
ネット環境の悪さが仕事に支障をきたしたことがある割合を回線別に集計した結果は以下の通りである。
支障が出たことはない | 支障が出たことがある | |
---|---|---|
光回線 | 68.8% | 31.2% |
ADSL | 57.1% | 42.9% |
WiMAX | 32.3% | 67.7% |
ポケットWiFi (WiMAX以外) |
34.5% | 65.5% |
スマートフォン | 57.7% | 42.3% |
その他 | 45.8% | 54.2% |
仕事に支障をきたしたことがある割合が、最も高いのはWiMAXで、7割ほどいることが分かる。
一方で、支障をきたしたことがある割合が最も低いのはやはり光回線だ。
このことから、特に重要なオンライン会議などがある場合は、光回線で臨むのがベストと言えそうだ。